罪の声(映画)のあらすじや結末をネタバレ!グリコ森永事件の新事実についても
映画『罪の声』が2020年秋に公開される予定になっています。
正式な公開日は明らかになっていないものの、期待する声は非常に多くなっている
作品です。その理由は、あの昭和史に刻まれた未解決事件であるグリコ森永事件が
モチーフになっているとても興味深いストーリーにありました。
ということで映画『罪の声』のあらすじや結末ネタバレ、そしてグリコ森永事件の
新事実についてまとめました。
映画『罪の声』予告【10月30日(金)公開】
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罪の声(映画)のあらすじ
ある日、亡き父から跡を継いだ京都のテーラー経営者の曽根俊也は、父親の遺品から
黒革の手帳とカセットテープを見つける。テープを再生してみると幼少時の自分の
声が聞こえてきた。
風見しんごの曲「ぼーくぼーく、わらっちゃいますー」と何やら父親に連れられた
スナックで歌っている様子。
そして次に「ばーすーじょーなんぐーの、べんちのお・・・」と聞こえてきました。
城南宮かな・・・など色々と考えてみますが、記憶にない。
そして手帳を開けてみると、そこにはびっちりと英語で何かが書かれているよう
でしたが、『ギンガ』『萬堂』と書かれているのが目に入る。しかも手帳には、
売上とか、従業員数、社長の名前など細かい情報まで書かれていた。
不思議に感じた俊也は、ネットで『ギンガ』『萬堂』について検索してみると、
ギンガ・萬堂事件の概要記事から脅迫電話には、女性の声や子供の声を使った
ことを知り、そして録音テープの音源を見つける。
「きょうとへむかって、いちごうせんを・・・にきろ、ばぁーすーてーい
じょーなんぐぅーの、べんちの・・・こしかけのぉ、うらぁ」
とテープから流れるのは自分の声だということに気づく。
そしてそこから父親が『ギンガ・萬堂事件』略して『ギン萬事件』の犯人なのか
と疑念を抱くことに。しかし家族にも相談出来ず悩んだ末に頼ったのが、父親の
幼馴染で店の常連でもある堀田信二だった。
テープの音声のこと、手帳のことを含め『ギン萬事件』のことなど事情を話し、
堀田は、イギリスに何か思い当たることがあるらしく、手帳を預かり協力して
もらうことに。
やがて俊也は、その東洋人が俊也の叔父、曽根達雄かもしれないということと、
そしてその叔父はイギリスで30年以上前に消息を断っていること、また事件との
関係を思わせる過去についても堀田から聞くことに。
その一方で時を同じくして新聞記者の阿久津英士は『ギン萬事件』の取材に追われ
ていました。阿久津は大日新聞社、文化部の記者で年末の企画で『ギン萬事件』を
担当することになります。
30年前の未解決事件に焦点を当て、犯人を引きずり出そうと事件担当デスクの鳥居
からの発案に困惑気味の阿久津をよそに、企画記事の応援要員として駆り出され、
挙げ句にイギリス・ロンドンへの取材を言いつけられる。
そしてその取材は『ギン萬事件』の4ヶ月前にロンドンで起こった『ハイネケン
誘拐事件』のことについてのもの。
ハイネケン誘拐事件は、ハイネケン会長が拉致され多額の身代金を要求されると
いう企業家誘拐事件でその事件の内容が『ギン萬事件』に酷似していていること
から『ハイネケン事件』を真似たのが『ギン萬事件』だということ。
その当時、イギリスで事件のことを調べていた東洋人がいたことが判っていて、
何らかの形で『ギン萬事件』に関わっていると考えられ、その東洋人を探し出せと
いうことだった。
ところがイギリスでの取材が空振りに終わった阿久津は、完全に行き詰まるが、
当時事件を追っていた元社会部次長の水島から顔を出すように言われ、水島を
訪ねる。そこで『ギン萬事件』の資料を受け取る。
そしてその資料の中に阿久津がどうしても気になる資料があった。
それは、株の業界誌『ストック・ジャーナル』だった。
『ギン萬事件』と株に何らかの関係があるのではないかと感じていた・・・。
グリコ森永事件とは?(概要)
映画『罪の声』のモチーフになったグリコ森永事件とは、いったいどのような事件
だったのか?
グリコ森永事件とは、1984年から1985年の1年間にわたって起きた江崎グリコ、
森永製菓などの企業に対する複数の凶悪事件の総称です。「かい人21面相」と
称した犯人たち、「キツネ目の男」と呼ばれた不審な男、脅迫電話に使われた
子供の声なども注目されました。
発端は、1984年江崎グリコ社長が誘拐された事件で江崎グリコへはその後も脅迫、
放火が行われました。さらに森永製菓をはじめ、ハウス食品、不二家、丸大食品、
駿河屋といった企業もターゲットにされ、脅迫が行われていきます。
またこれらの他、店舗に青酸が混入された菓子が置かれるという事件も起こる。
しかし必死の捜査も及ばず、2000年一連の事件はすべて時効となり犯人が1人も
分からないまま、迷宮入りとなったのです。
グリコ・森永事件の経過
1985年
3月18日 | 江崎グリコ社長が誘拐される。 |
3月19日 | 高槻市の電話ボックスにグリコ宛脅迫状発見。 |
3月21日 | 江崎社長が茨城市内の水防倉庫から脱出。 |
4月8日 | 報道期間に「けいさつのあほどもへ」と挑戦状。 |
4月10日 | 大阪市内のグリコ本社など放火。 |
4月12日 | 警察庁が広域重要114号事件に指定。 |
4月21日 | 毎日新聞大阪本社に脅迫状。差出人は「かい人21面相」。 |
4月24日 | 名神高速道路や高槻市内で現金奪取に失敗。 |
5月10日 | グリコ製品に青酸ソーダを入れたとの脅迫状。 |
5月15日 | グリコ減産へ。 |
6月2日 | 犯人グループが寝屋川でアベックを強迫しグリコから3億円奪取を図るが失敗。 |
6月22日 | 高槻市の丸大食品本社に脅迫状。 |
6月26日 | 犯人から「グリコゆるしたる」という休戦状。 |
9月12日 | 森永製菓に1億円要求する脅迫状。 |
10月7日 | 関西のスーパーで青酸ソーダ入りの森永菓子が見つかる。 |
10月11日 | 捜査本部が犯人グループの電話の声を公開。 |
10月15日 | 捜査本部がスーパーの防犯カメラに映った不審な男の映像を公開。 |
10月22日 | ファミリーマート本部ビル(東京)で青酸菓子発見。 |
11月7日 | ハウス食品工業に1億円を要求した脅迫状。 |
11月13日 | 報道協定が成立。 |
11月14日 | 滋賀県警パトカーがハウス食品に要求した1億円を取りに来た犯人を取り逃がす。 |
12月7日 | 不二家社長宛に青酸ソーダを同封した脅迫状。 |
1986年
1月10日 | 捜査本部、犯人のひとりと見られる男の似顔絵を公開。 |
2月27日 | 茨木市の交番で「森永ゆるしたろ」の休戦状が見つかる。 |
8月12日 | 「かい人21面相」終結宣言。「くいもんの かいしゃ いびるの もうやめや」。 |
参考文献:昭和二万日の全記録」18巻(講談社)
※この事件以来、お菓子の箱はフィルムで包装されるようになった。
グリコ森永事件の新事実とは?
そんなグリコ森永事件ですが、後日、新事実も明らかになりました。
捜査に当たっていた滋賀県警が1億円を運ぶ輸送車を警護するためサービスエリア
を張り込んでいたところ「キツネ目の男」の不審な動きを目撃していたのです。
※表の11月14日のこと。
「キツネ目の男」は、人相は似顔絵そのまんまといった感じで、ベンチに座って
何か貼っていたというのでした。
ところが「キツネ目の男」の貼ったものは、当時も後日も、確認されることはなく、
有力な証拠になったかもしれないのに闇に消えてしまいます。
また1億円の受け渡しも行われず、その後「キツネ目の男」の正体を突き止めること
はできなかったということでした。
警察は組織を一網打尽にしたくて敢えて職質を行わず、尾行したようですが、
見失ってしまったようです。もしもあそこで欲を出さず捉えていたらと思うと
残念です。
もしもグリコ森永事件がこの物語のような真実があるとすれば、かなり悔やまれる。
罪の声(映画)の見どころ
映画『罪の声』は、塩田武士さんが2016年に刊行した小説が原作。
原作小説は、山田風太郎賞を受賞したほか、週刊文春ミステリーベスト10国内部門
で1位にランクインされるなど、高い評価を受けることとなりました。
塩田武士さんは、まだ大学生だったころにグリコ森永事件について本で触れ興味を
持ちます。とくに脅迫電話に子供の声が使われていたことで、自身と同世代だった
子供に着目し、原作小説の執筆につながりました。
執筆するために、膨大な量の新聞記事を読んだうえ、犯人は自身の創作であるものの
それ以外の部分は、グリコ森永事件に忠実に執筆したとのこと。
因みに
『グリコ・森永事件』→『ギンガ・萬堂事件』
『かい人21面相』→『くらま天狗』
『江崎グリコ』→『ギンガ』、『丸大食品』→『又一食品』
『森永製菓』→『萬堂製菓』、『ハウス食品』→『ホープ食品』
『不二家』→『鳩屋』、『駿河屋』→『摂津屋』
となっていました。
新聞記者の阿久津を小栗旬さんが、そして曽根俊也を星野源さんが演じるところも
見どころです。そしてこの二人の脇を固める俳優陣も梶芽衣子さん、宇崎竜童さん
松重豊さん、古舘 寛治さん、火野正平さんなど超豪華で見どころのひとつと言える
でしょう。
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罪の声(映画)の結末をネタバレ
俊也は、事件のテープに録音されているのが、3人の子の声が使われていたことを
知る。一人目は俊也の声、二人目は望という中学生女子の声、そして3人目が聡一郎
という小学生2年生で望の弟だった。
また二人は叔父・曽根達雄の友人、藤崎から聞いた堺にある「し乃」という店を
訪れ、板長からギン萬事件が起きた年の秋に店の二階で会合が行われたことを
聞き出す。
そしてその会合に柔道部の先輩で元滋賀県警の暴対の警察官・生島秀樹も出席して
いた事を突き止める。その長男と長女が聡一郎と望だった。
また阿久津も「し乃」にたどりついていた、そして板長にギン萬事件のキツネ目の男
が映っている写真を見せ、一緒に映っているある人物が誰であるのかも証言がとれ、
また店の二階で会合が行われていたことも聞き出した。
一方、俊也と堀田は、生島望の小学校からの親友天地幸子に会うことに。
天地幸子は望たちが失踪した直後から望と連絡を取っていたらしく、失踪当時のこと
やその後、望たちがどうなったかなど知ることに。またその失踪時に望たちを迎えに
きた人物の名前も知ることになる。その名前は、ヤマシタ、ソネだった。
このことで事件に叔父の曽根達雄が関与していたこと、また生島家がその後、
どうなったのかを知った俊也は、もうこれ以上調べるのは終わりにしようと
堀田に告げ、堀田もそれに同意した。
その頃、阿久津は事件の犯行グループ「くら魔天狗」のメンバー何人かが判明して
いた。そのウラを取るため再び「し乃」へ向かい、そこで俊也のことを知り、父親の
遺品の中に手帳と事件に使われた自分の声が録音されているテープがあること、
また俊也の叔父・曽根達雄のことも聞き出した。
そして阿久津と俊也を訪ねます。
自分の家族が壊れると思った俊也は阿久津に何も話さず、追い返します。
そして阿久津は再びイギリスへある女性を頼りに、曽根達雄を探しにいきます。
曽根達雄を見つけた阿久津は曽根達雄と会うことに成功し、そして達雄から自身と
生島秀樹らが犯人だということを訊き出しました。そしてようやく事件の真相は
明らかになりました。
事件の真相を報告しに俊也の元へとやってきた阿久津ですが、そこで、望のことや
聡一郎のことを聞き、二人は聡一郎を探しにいくことに。
やがて聡一郎は見つかり、これまで彼が歩んできた壮絶な人生を聞く、そして
聡一郎は、ひとり残して逃げてしまった母親に会い、誤りたいと訴えた。
聡一郎の壮絶な半生とは
・姉の望を殺したのは金田哲司だった。
・千代子と聡一郎は青木組のフロント企業で働くことになる。
・中学3年の夏、若い組員の津村と事務所に放火し逃走する。
・聡一郎は、青木組からの報復を恐れ各地を転々とし、今では時間潰しをするためにギリギリの生活を続けていた。
俊也と阿久津はやっと事件の全ての真相を掴むと、その事実を明らかにし、
慎一郎が生きているということを伝えたいと、またそれにより母親が見つかる
のではないかと考えた。
あの事件で俊也の声をカセットテープに録音したのは、母親の真由美だった。
真由美と叔父の達雄は、活動をしているときに知り合った。
その後真由美は、亡き父親・光雄とお見合い結婚する。
事件のことを達雄から聞き、警察に恨みがあり、また達雄に借りがあった為
事件に加担してしまう。
自分のしたことが正しかったのか?それとも間違っていたのか?
わざと俊也にカセットテープと黒革の手帳を見つけさせ、その判断を息子に
委ねたのだった。
そして会見から9日後・・・。
聡一郎の母親・千代子は見つかる。
二人は30年ぶりに再会を果たし、聡一郎は、あの時一人で逃げたことを誤り
母親の胸で泣き崩れる。
その後、阿久津と俊也は大阪で再会し、阿久津は借りていたカセットテープと
手帳を俊也に返し、お互いに感謝を言葉にする。
そして俊也はイギリスにいる叔父の達雄に会いに行くと阿久津に告げ、二人は
それぞれの道を歩むのだった。
※
1984年11月14日・・・生島家が突然消えた日
1984年11月14日・・・1985年11月14日(表参照)
ギン萬事件とグリコ森永事件とは1年の誤差がある。
こちらも合わせてご覧ください。
まとめ
映画『罪の声』は、フィクションとは思えない、圧倒的なリアリティーが魅力。
また豪華俳優陣が出演するところもかなり興味深い。
公開は、2020年秋。
公開が待ち遠しいです。また公開日が分かり次第、追記します。
最後までありがとうございました。
ゆうすけ