ストックホルムケース(映画)のタイトルの意味とは?経緯や由来についても
映画『ストックホルムケース』が、2020年11月6日(金)に公開されます。
カナダやアメリカでは、2019年に公開されたサスペンス映画で本邦初公開。
映画『ストックホルムケース』は、ただのサスペンス映画というわけではありません。
ストックホルム症候群の語源にもなった、ストックホルムで実際に起きた強盗事件を
題材に描いた作品でした。
ということで今回は「ストックホルムケース」というタイトルの意味やストックホルム
症候群、そしてその経緯や由来についてまとめました。
映画『ストックホルム・ケース』予告編動画
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ストックホルムケース(映画)のタイトルの意味とは?
「ストックホルム」とは北ヨーロッパのある国スウェーデンの首都。
映画の舞台となる場所で、ストックホルム症候群の由来となった場所でもある。
そしてタイトルに入っている「ケース」とはどのような意味だろうか。
ケースとはジュラルミンケースやアタッシェケースのように現金や書類、物を入れる
容器の意味がある。またショーケースのようにガラス張りで展示品や販売する品物を
入れる箱も意味する。
映画の内容から『ストックホルムケース』の意味を見ていくと、ストックホルムで
発生した事件という意味になる。ケースには困難、状況、警察が捜査すべき事件と
いう意味もある。
銀行員の視点から見れば、銀行に銃を持った男が押し入り、現金と車を要求し、
銀行員を人質にするという困難な状況下に置かれてしまう。
警察の視点から見れば、捜査して解決するべき事件という意味になる。
アメリカ人の扮装をして銃を持った男が銀行強盗に押し入り、人質を取って立て
こもるという事件の解決に動いていくということになる。
因みにスウェーデン生まれの女優がいることをご存知だろうか。
1人目はイングリッド・バーグマン。
ハンフリー・ボガートと共演した『カサブランカ』に出演している。『ガス燈』と
『追想』でアカデミー主演女優賞、『オリエント急行殺人事件』でアカデミー
助演女優賞を受賞している。
2人目はアリシア・ビキャンデル。
『リリーのすべて』でアカデミー助演女優賞を受賞している。『トゥームレイダー
ファーストミッション』では冒険家を体当たりで熱演している。
またダイナマイトの発明者であり、ノーベル賞の創設者として知られるアルフレッド
・ノーベルもスウェーデンの出身。
ストックホルム症候群とは?
ストックホルム症候群とは、心的外傷後ストレス障害の一種。誘拐事件や監禁事件
の被害者が犯人と共に長い時間を過ごしていくことにより、被害者が犯人に対して
過度の連帯感や好意的な感情を持つようになる現象を意味する。
「ストックホルムシンドローム」とも呼ばれる。
日本での最初にハイジャック事件で、1970年に発生した「よど号ハイジャック事件」
では、ある乗客が「北帰行」という歌を歌ってハイジャック犯を激励したと言われて
いる。
また別の乗客は飛行機から降りる際に「頑張って下さい」とハイジャック犯を激励
したという。
これに対してストックホルム症候群と同じ状況下で、監禁事件を起こした犯人が
被害者に対して同情的な態度を取るようになる現象があり「リマ症候群」と呼ばれ
ている。
監禁者が自身の考えを改めたり、被害者に対して共感を覚えることがあると言われて
いる。
リマ症候群の由来になったのは1996年から1997年にかけてペルーの首都リマにある
日本大使公邸人質占拠事件。公邸を占拠した武装集団は約600人を人質にしていたが
人質に同情して200人以上を解放したという。
通常、犯罪被害者は加害者に敵対的になるものですが、人質事件においては協力的に
なることもあります。なぜなら人質事件の場合、被害者は犯人に生殺与奪を握られて
おり、このことによって、危害を加えられない限り、犯人にむしろ好意を抱くことも
ありうるからです。
これらのことからストックホルム症候群とは、人質による犯人への協力心理だった
わけです。
映画『ストックホルムケース』での描写が注目となっていくことでしょう。
ストックホルム症候群の経緯や由来
「ストックホルム症候群」の由来となったのはスウェーデンの首都ストックホルム
で発生したノンマルム広場強盗事件。
1973年8月23日、スウェーデンの首都ストックホルムの中心部。刑務所から仮釈放
されていたヤン=エリック・オルソンはサブマシンガンを持ってノンマルム広場に
ある銀行へ押し入った。
事件直後に駆け付けてきた警察官に発砲して、警察官1人の手に軽症負わせた。
その後オルソンは9人の銀行員を人質に取るが、警察との交渉によって同日に5人の
人質を解放したが、女性3人、男性1人の銀行員を拘束したまま銀行に立てこもった。
オルソンは現金300万クローネとオルソンの友人で銀行強盗の罪で服役中であった
クラーク・オロフソンの釈放と逃走を認めるよう要求した。
警察側はこの要求に応じ、現金を提供し、オロフソンをオルソンに合流させた。
そして交渉の結果、逃走用の車両が提供されることになったが、人質を連れていく
ことは許されないことになった。
8月25日、警察は犯人たちが人質と共に立てこもっていた金庫室を封鎖、食料の提供
要求を拒否した。
8月27日、警察は犯人や人質たちがいる金庫室の天井に穴を開け、投降するように
説得を試みた。
オロフソンは開けられた穴に向かって2度発砲、2度目の発砲で警察官の顔と手に
傷を負わせた。同日にオルソンはオロフ・パルメ首相に電話を掛けて安全に脱出
させることを要求し、そうならなければ人質を殺すと脅迫した。
8月28日に再度、首相に電話が入ったが、今度の電話は人質からであった。
首相の強硬な姿勢には不満であり、犯人たちと共に現場から去らせてほしいと訴えた。
その日の夜、警察は催涙ガスを使用するという強硬手段を取り、ガスの注入に気付いた
犯人のオルソンとオロフソンは自ら金庫室の外に出たところを逮捕された。
人質で大きな負傷をしている者は誰もいなかったという。
このノンマルム広場強盗事件はスウェーデンの犯罪事件として初めてテレビで生中継
された。人質解放後の操作で犯人が寝ている間に人質が警察に銃を向けるなど、犯人
に協力して、警察に敵対する行動を取っていたことが判明した。
また、解放された人質は警察に対して非協力的な証言を行った。
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ストックホルムケース(映画)のあらすじ
北欧スウェーデンの首都ストックホルムが舞台。何をやってもうまくいかない悪党
のラースは自由の国アメリカへ逃れるためにストックホルムにある銀行に銃を手に
して押し入る。
アメリカ人に扮装したラースは幼い娘の母親であるビアンカを含む3人の女性を人質
に取り、犯罪仲間であるグンナーを刑務所から釈放させることを要求する。
彼の釈放に成功したラースは人質と交換に逃走資金である100万ドルと逃走用の車両
を要求する。
ラースはグンナーと共に逃走する計画を立てたものの警察側はラースとグンナー2人
を銀行内に封じ込める作戦を実行する。その作戦に警察が成功したことによって事件
は長期化することになり、事件現場である銀行には報道陣が押し寄せてきた。
やがて事件の長期化が避けられないことになり、次第に強盗犯ラースと人質となって
いるビアンカたち3人の間に不思議な共感が芽生え始めていくのだった。
誘拐や監禁事件の被害者が犯人と長い時間を共にすることによって犯人に対して
連帯感や好意的な感情を抱く「ストックホルム症候群」という心理学用語。
その語源となった1973年にスウェーデンの首都ストックホルムで発生した
「ノルマルム広場強盗事件」を題材にした犯罪映画。
まとめ
映画『ストックホルムケース』は、映画ということもあり、犯人や被害者などの設定
は若干変わっているものの、実在の事件を題材に描かれた作品だということで興味を
惹かれる。
公開は、2020年11月6日(金)
ラース役のイーサン・ホーク、ビアンカ役のノオミ・ラパスの演技も楽しみです。
最後までありがとうございました。
ゆうすけ