ノマドランド(映画)のタイトルの意味とは?原作者の意図やメッセージについても
映画『ノマドランド』が2021年3月26日(金)に公開されます。
実際に起こった経済危機をモデルに、たくましく生き抜く人々を描いた作品。
しかし映画『ノマドランド』は、そのタイトルが気になるところ。
ということで映画『ノマドランド』のタイトルの意味やタイトルに込めた原作者の
意図やメッセージについてもまとめました。
『ノマドランド』予告映像
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ノマドランド(映画)のあらすじ(内容)
すべての発端は、2008年アメリカにて証券会社が破綻してしまったことでした。これに
より大規模な経済危機が発生しその結果、アメリカのみならず、世界中において悪影響
が出始めたのです。
しかも、この経済危機による悪影響は、若者から中年、更には高齢者まで多様な年齢層
に対し、問題をもたらすことに。最も顕著だったのは、多くの高齢者がこれまで住んで
きた自宅を失ってしまったということ。
自宅が失くなってしまった人々は車中宿せざるを得なくなってしまい、それまでと生活
は一変してしまいます。
その後、人々は新たな就職先を求め、アメリカ中を巡るようになりました。
ところがしっかりした経験を持った人であっても、まともな就職先にありつくのは非常
に困難なことだったのです。そして必然的に低賃金なうえに過酷な肉体労働をせざるを
得なくなってしまうのだった。
とはいえ人々は、たとえ辛い状況であっても、困難にしっかりと立ち向かっていきます。
そんな中、60代の女性ファーンはネバダ州で臨時教員として働いていた。しかし工場が
閉鎖されたことに伴い街の経済は大きな打撃を受けてしまう。その影響によって彼女は
長年住み慣れた家を手放すことになってしまい、途方に暮れてしまう。
そんな彼女はキャンピングカーに亡き夫との思い出を詰め込み、季節労働の現場を渡り
歩いていくことになる。
その日その日を懸命に乗り越えながら、彼女は往く先々で出会う同じ立場にある多くの
人たちと出会い、心の交流を持っていく。そしてファーンは自身の誇りを持った生き方
を続けると共に自由な旅を今日も続けていくのであった。
ノマドランド(映画)のタイトルの意味
「ノマド」とは英語で「遊牧民」を意味するが、仕事の視点で見ると時間と場所に
とらわれない働き方をする人を指す。
映画『ノマドランド』で描かれているように臨時雇いの仕事に従事し、その日を懸命
に乗り越えながら次の職を求めてアメリカ各地を移動する人。
「ランド」とは英語で「土地」や「国」「国土」を意味する。「ランド」を「国」
という意味で見ると、ノマドが住むアメリカという国を意味する。
つまり「ノマドランド」は「遊牧民の国」を意味する。
働き方が大きく変わっていく時代の中で、時間や場所にとらわれない働き方をする人の
生き方や姿を描いた映画で、生き方を変えることの難しさを教えられる映画でもある。
タイトルに込められた原作者の意図
この「ノマドランド」というタイトルに、原作者はどのような意図が込められている
のでしょうか?
映画『ノマドランド』の原作は、ジェシカ・ブルーダーのノンフィクション『ノマド:
漂流する高齢労働者たち』。ジェシカ・ブルーダーの具体的な意図は不明ですが、
実は「ノマド」には「遊牧民」や「放浪者」以外にも、別の意味がありました。
これらから派生した「ノマドワーカー」というもの。
「ノマドワーカー」とは先でも少し触れましたが「時間や場所にとらわれないで働く人」
や「時間や場所にとらわれない働き方」という意味。
映画『ノマドランド』は、そのストーリー的に「遊牧民」や「放浪者」だけではなく、
「時間や場所にとらわれないで働く人」や「時間や場所にとらわれない働き方」という
意味合いもあることからこうした意図も込めたのではないでしょうか。
かつては専門職に就いていた者でも、時給が安く過酷な労働に従事するという不安定な
状況下に置かれている。格差に対する警告の意味を考えると、時給が安く過酷な労働
環境に置かれている者と莫大な富を手にする者との経済格差が生まれている。
お金がなければ生活ができないという貨幣経済の中では、教育の格差や健康の格差も
生まれてくる。また労働者の使い捨ての問題も見えてくる。
都合の良い時にだけ労働者を雇い、不要となれば捨ててしまうという、働く者にとって
はあまりにも過酷で生きにくさを感じる時代だと教えられる。
それでも誇りを持ち、互いに助け合う精神を持ち続けているノマドから何かを学べる
のではないだろうか。
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タイトルに込められた原作者のメッセージ
「ノマドランド」というタイトルに、原作者のジェシカ・ブルーダーは、どのような
メッセージを込めていたのか?
ジェシカ・ブルーダーの具体的なメッセージは分かりませんが、ストーリーから考え
れば「ノマド」の本来の意味である「遊牧民」や「放浪者」と「時間や場所にとらわ
れないで働く人」や「時間や場所にとらわれない働き方」は、やはり大きく関わって
いるとみるべきです。
つまり、経済危機によって住む家を失い流浪の民と化した人々が、時間や場所とは
無関係に働いていくという事実に基づき、強く生きることの大切さを訴えたかった
のではないでしょうか。
自分だけが良ければそれでよいという社会、何かと我先にとなりがちな社会において、
お互いに助け合うという現代人が忘れてしまった精神を思い出させるタイトルでもある。
そして人は自分が思っているよりも強いということも思い出させる。
過酷な労働に従事しながらも、その日を懸命に生き抜く力が人は誰にでもあるという
ことを教えられる。
どんな状況でも自分というものをしっかり持ち、生きていくことの大切さをメッセージ
としてタイトルに込めたのではないでしょうか。
こちらも合わせてご覧ください。
まとめ
映画『ノマドランド』は、事実を基にしているところがとても興味深い作品と言える。
またボストン批評家協会賞では作品賞、監督賞、撮影賞、そしてゴッサム賞で作品賞、
観客賞、全米映画批評家協会賞で作品賞、監督賞、主演女優賞、撮影賞、ナショナル
・ボード・オブ・レビュー賞では撮影功労賞を獲得、作品賞トップ10にも選出と数々
の賞を軒並み制覇し、本年度アカデミー賞最有力との呼び声も高いということで、
注目です。
公開は、2021年3月26日(金)
見逃すわけにはいきませんね。
最後までありがとうございました。
ゆうすけ